懸垂の回数を増やす!一回も出来ない人が出来るようになるためには?
中学校・高校の体力テストの定番種目でもある「懸垂」
この懸垂ですが、最近の体力測定では実施しない学校も増えているそうです。
その理由は「1回も出来ない生徒がほとんどだから」
日本人の体力は文明の発達とともに低下していると言われていますが、これはあまりにも情けない話ではありませんか?
女性の場合は最初から斜め懸垂しか行いませんが、男子たるもの懸垂くらい簡単にこなしたいもの。
加えて、学生時代に運動部でならしたおじさんたちが、久しぶりにジムに行ったら「懸垂が一回もできなくてショックだった」という話もよく聞きます。
・懸垂が一回も出来ない人が出来るようになるためにはどうすれば?
・懸垂の回数を増やすのに有効なトレーニングは?
今回は、懸垂のトレーニング方法についてご紹介します!
”チンニング”は和製英語
日本では、懸垂のことを「チンニング」と呼ぶこともあります。
「チン(chin)」とは「アゴ」の事であり、アゴを鉄棒の上まで持ち上げるからチンニングというのでしょうが、これは和製英語なので英語圏では通じません。
英語では、順手の懸垂のことを「プルアップ(Pull-up)」
逆手の懸垂のことを「チンアップ(Chin-up)」と言います。
日本の体力測定では、懸垂は順手で行うことが基本ですが、腕の力を使いやすい逆手の方が回数が増える傾向にあるため、筋トレであれば逆手も織り交ぜて行うことをオススメします。
懸垂に必要なのは広背筋と上腕二頭筋
懸垂で鍛えられる主な部位は、背中の筋肉である広背筋と大円筋
それに、腕の筋肉である上腕二頭筋です。
懸垂の正しいフォームについては>こちらの記事を御覧ください。
この記事では、懸垂の回数を増やす・一回も出来ない人が懸垂を出来るようになるためのトレーニング方法についてご紹介します。
懸垂で使うのは背中と腕ですから、懸垂以外の方法で背中と腕を鍛えれば自然と懸垂も出来るようになるはずです。
しかしそれよりも、どうにかして「懸垂」を行うことが、「懸垂のための筋力」を鍛えるためには最も近道なはず。
そのための工夫を紹介します。
ネガティブ懸垂
筋トレでは、ウェイトを持ち上げる時以上に、ウェイトを「ゆっくり下ろす」時の方が筋繊維が激しく破壊されます。
筋肉は収縮することで力を発揮する器官ですが、重力に耐えながらウェイトをゆっくり下ろしている時というのは、筋繊維が「収縮しようとしているのに伸ばされている」状態になります。
これは「エキセントリック収縮」と呼ばれており、筋繊維に激しいダメージを与えます。
その理由は、単純に収縮するときより、収縮しようとしているのに伸ばされている時の方が、動員される筋繊維が少ないためと考えられています。
当然、持ち上げるときと下ろすときでウェイトの重さは変わりませんから、動員される筋繊維が少ないほうが、一本あたりにかかる負荷は大きくなります。
このため、筋トレでは「ゆっくり下ろす」事が大事と言われるのです。
懸垂で身体を持ち上げることが出来ない場合、地面を蹴ってジャンプする勢いで身体を持ち上げてしまい、そこから「ゆっくり下ろす」動作だけを繰り返すことで、広背筋を強く鍛える事が出来ます。
このように、「持ち上げる動作」を省略して「ゆっくり下ろす」動作だけを繰り返すトレーニング方法を「ネガティブレップ法」と言います。
これはどんな種目にも応用可能ですが、懸垂には特に有効な方法です。
現時点で懸垂が一回も出来ない人はもちろん、懸垂の回数を増やしたい人も、持ち上げる力が尽きたあとにネガティブレップを行うことで、最後まで筋肉を追い込むことが出来ます。
アシスト懸垂
自分の力だけで持ち上げられないなら、道具の力を借りればいい。
トレーニングチューブなどを鉄棒にひっかけ、ゴムの力を借りて懸垂を行います。
ゴムの力が強すぎて自分の力が要らないようではトレーニングにならないので、使用するチューブの強度はちゃんと確認してください。
なお、トレーニングパートナーがいる場合はチューブも必要なく、下からお尻を軽く押してもらうことでも同じ効果が得られます。
この場合は、上げるときだけパートナーに押してもらい、「ゆっくり下ろす」ときは自分の力だけで行います。
2人で協力して、しっかり広背筋を追い込みましょう!
斜め懸垂
完全にぶら下がって行う懸垂は出来なくても、脚をついて行う斜め懸垂なら数回は出来るはず。
斜め懸垂で使う筋肉と懸垂で使う筋肉は微妙に異なりますが、背中と腕の筋肉であることには変わりません。
斜め懸垂をしっかりやりこんで背中と腕を鍛えておけば、懸垂の回数も増やせるはずです。
斜め懸垂のポイント
・身体を一直線に保つ
・肩を下制し胸をバーに引きつける
・腕で引くのではなく、肘から背中で引く
ラットプルダウン
ジムに通うことが出来る場合、懸垂と似たような効果を得られるマシンがラットプルダウンです。
ラットプルダウンは筋トレマシンの定番なので、間違いなくどこのジムにもあるはずです。
懸垂は自分の体重が負荷になるため「自重以下」の負荷にするためには上のような工夫が必要ですが、ラットプルダウンではピンを抜き差しするだけで細かく負荷が調整でき、ごく軽い重量からも始められます。
ラットプルダウンで広背筋を鍛えることで、懸垂も出来るようになるはずです!
ラットプルダウンと懸垂の効果の違いは?
ラットプルダウンと懸垂は、ほとんど同じような動きであるため、その効果も同じと思われがちですが、この2つは微妙に異なっています。
まず、ラットプルダウンはマシン特有の特徴として「身体を椅子に固定して対象筋のみを動員する」ように出来ています。
つまり、対象筋である「広背筋」と「上腕二頭筋」をピンポイントで動員できるようになっているので、この2つの筋肉を集中的に鍛えるのに適しています。
それに対して懸垂は、フリーウェイトの特徴である「全身を連動させて力を発揮する」トレーニングです。
もちろん主動筋となるのは広背筋と上腕二頭筋ですが、ぶら下がって不安定な身体を制御するために、無意識的に全身の筋肉が連動し、細かなインナーマッスルなども動員されています。
つまり
・ラットプルダウンは対象筋のみを集中的に鍛える
・懸垂は対象筋の他の細かな筋肉まで鍛える
という違いがあります。
「ラットプルダウンで自分の体重を引けたら懸垂も出来るの?」という疑問がありますが、実際には「ラットプルダウンで自分の体重の80%程度を引けたら懸垂は出来る」ようになります。
ラットプルダウンでは対象筋のみを集中的に動員するのに対し、懸垂は他の細かな筋肉も無意識的に使うので、対象筋への負荷はラットプルダウンよりも軽くなるからです。
但しこれはあくまでも「対象筋への負荷」の話で、「全身への負荷」ということなら、動員する筋肉が多い懸垂の方が大きくなります。
・広背筋を集中的に鍛えたいのか
・全身の連動性を高めた「使える身体」がほしいのか
目的に合わせて、ラットプルダウンと懸垂を使い分けるのが賢いトレーニング方法です!
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懸垂は何回出来れば「すごい」と言えるのか?
懸垂は自分の体重が負荷となるため、体重の重い人ほど不利になります。
しかし逆に、体重の軽い人は筋肉量も少ないため、体重が軽いほど懸垂に有利とも言いづらいトレーニングです。
懸垂のトレーニングを行う場合、何回くらいを目標にすればいいのでしょうか?
筆者は「30代男性」ですが、運動経験の有無にかかわらず「30代の日本人男性」全員にアンケートを取ったら、間違いなく「1回も出来ない」が最多になると思います。
ですから、30代以降の男性なら「1回でも出来れば平均以上」と言っていいと思います。
また、学生であっても1回も出来ない生徒が多すぎて体力測定で行わなくなっているくらいですから、まずは「1回」出来ることが大前提。
その上で各所で話を聞いてみると、学生の懸垂回数は…
「10回出来るのは学年に10人以下・20回はスポーツ強豪校でも学年に1人か2人」というのが定説のようです。
つまり、どの年代であっても「10回」出来れば「凄い」と言っていいのではないでしょうか!
懸垂のトレーニング、まずは「10回」を目標に頑張ってみましょう!